【第5話】イヌと誘拐 | 『帰ってきた』 コロ助の徒然日記 リローデッドZ パート2

【第5話】イヌと誘拐

私はイヌです。
と言っても、野良犬ではありませんし、現状では独りで生きていける程独立もしていませんので、飼い主がいるわけです。

飼い主が私を散歩に連れて行くと、街を歩いている女子高生などが、「かわいい」と言ってくれるようです。まさか、「かわいい」と言われて優越感に浸りたいがために、朝の通学時を狙って散歩をしているのではないか?と一瞬飼い主の人格を疑いましたが、本人に尋ねると「全くそんな事はない。気のせいだ」と言い張りますので、これ以上触れないようにします。
私は2年前の6月にこの街で生まれまして、基本的にはこの街から出た事はありません。近所の海などに散歩に行く事はありますが、いつも首から綱が伸びている状態の為、自由には行動できません(住んでいる家の長さ20mほどの廊下で走り回る事は毎日ですが)。
しかし、以前電車に乗って遠出をした事がありました。この世の物とは思えないほどの広さの「ドッグラン」で足がフラフラになるまで走り回りました。その時も周りの飼い主さん達は私を見て「かわいい」と連呼していましたので、多分私はかわいい小型犬なのだと自覚しています。
人間でもそうですが、かわいいと誘拐される危険性もあるわけでして、ぜひ保護者・飼い主の方は目を離さないで欲しいと思っております。

先ほどニュースで見ましたが、渋谷地下街のペットショップで飼っていたヨークシャーテリアのクワトロくんが、今年の2月に誘拐されてしまったそうです。目撃者の情報によると犯人の最後の言葉は、「かわいいから持っていっちゃおう」だったそうです。

私はその話を聞いて体がブルブルと震えました。ムダ毛をはたいているのではありません
私も人から「かわいい」と言われる身です。誘拐されるかも知れないのです。
飼い主に「散歩の時は絶対に目を離さないように」と注意を促すため、
ワンワン吼えて、ピョンコピョンコ飛び跳ねて訴えてみましたが、本当に解ったのかどうかは微妙です。

クワトロくん事件の早期解決を期待しております。