《第37話》 焼肉 | 『帰ってきた』 コロ助の徒然日記 リローデッドZ パート2

《第37話》 焼肉

焼肉と言えば、目の前の網で肉を焼いて食べる、という単純明快な料理です。


しかし、肉の質以外にも下味のつけ方なども大きく味に左右しますので、

「おいしい焼肉屋」などと言われる店が出てくるわけですね。


みなさんは焼肉が好きですか?


お前はどうなんだと言われれば、毎度毎度、「食べる前(食べたいと思う時まで)」は大好きです。

つまり、食べているうちにどうでも良くなってくる代表的な食い物です。


「食べたい!」と思って、店に入って、注文して、待っている間の期待値と、

到着した肉をジュージュー焼き始めて最初の一口を食べた時までの、


「幸せ」


な気持ちはどうして長く続かないのか。


「そりゃあんた、なんでも腹いっぱいになってきたら最初の幸せな気持ちは続かないでしょ」


とおっしゃる方。本当にそうでしょうか。

ラーメンなんかは食べてても最後まで幸せな気持ちは続きますし、

食べ終わるのが勿体無いな、と思う時すらありますし、

寿司を食べても、

「ああ、満腹だ。もう入らない」と思っても、幸せな気持ちのまま食べ終える事が出来ます。


焼肉は、


網に乗せて焼く⇒食べる⇒また網に乗せて焼く⇒食べる

⇒網に載せる間に、さっき乗せたのが焦げ始めてる

⇒慌ててあげて食べる⇒そういってるうちに違う肉がもう焦げてる⇒エンドレス


の様に、「あ、今食べたいな。今まさに食べたい瞬間だな」と言った、

こちらの気持ちを無視してどんどん食べごろがやってきては、過ぎ去っていく。

全くおかまいなしに、どんどん焼けてくる。


寿司屋だったら、

「まずはヒラメで軽くいったから、そろそろ脂っこい物でも行くか」と考えて、

「中トロ」と注文する。

このように「自分の食べたい瞬間と一致させながら食べる」事が可能なわけです。


なに?

だったら肉を網に乗せる時も、「食べたい物を食べたい時に乗せればいいじゃないか」って?


あなたね、焼肉ですよ?

焼肉食べたいと思ったから、だからあなたは焼肉屋にいるわけですよ。


「ああ、なんだかあんまりハラ減ってないけど、軽くでもメシいれとかないとなぁ。

どうしようかな?ソバにするか」


と思う人がいても、


「ああ、なんだかあんまりハラ減ってないけど、軽くでもメシいれとかないとなぁ。

どうしようかな?軽く焼肉でもいくか


と考える人、いますか?浦安鉄筋家族に出てくる鈴木フグオくんちじゃないんです。


つまり、焼肉屋に入った人は、ほぼ100%高レベルでハラが減ってるわけですよ。

だから、目の前に到着した皿は、次から次へとジャンジャン焼くに決まってます。

とにかく何でも良いから食べたいに決まってます。


こうやって、初期空腹がだんだんと解消されてくるにしたがって、

「ああ、俺、実は今カルビじゃなくて、タン食べたいんだよね。

でもカルビ目の前で焦げ始めてるし。食べないわけには行かないよなぁ・・・。

しょうがねえから、この油がブスブスいってるカルビでも食うか・・・。」


などと考えながら、仕方なく食べているのが本当ではないでしょうか。


鍋物なんかも似た所がありますけど、

鍋の場合は焦げて消し炭になってまったく食べられなくなるわけではないので、

まだ気が楽と言っても良いでしょう。


こうやって、焼肉屋では、「終盤食べるのを飽きてしまったカルビ(元カルビの今消し炭)」

が、毎晩大量生産されているわけですね。


「今まで何度も焼肉屋に行ったけど、一度も食材をムダにした事なんて無いぜ!」


という人、いるのでしょうか。

大量に注文して、網の上で真っ黒に焦げた炭化物を3~4個製造する、

というのが焼肉の通常ではないでしょうか。


もしいたら、とても計画的で人間的にもしっかりしているのかもしれませんが、

ちょっとつまらない人かも知れません。


これを読んだ人は、ご自分の胸に手を当てて、もう一度考えてください。

食べる前の期待値と、食べた後の「飽き飽き感」のギャップを、無視していませんでしたか?

焼肉は高いし、「うえ、もう入らない。もう肉なんか見たくも無い」と思いつつも、

「後悔した」なんて言えないから、

「いやぁ、おいしかった。満腹だね!最高だね!」

と無理に自分を納得させていなかったかと。

何個か肉をムダにしたのに、その辺りには極力触れないようにして、

会計で貰ったアメやガムを噛んで、「焼肉を食べた事を無かった事にしたい」

と思っていなかったかと。


この、「焼肉屋で最後まで完璧に満足して、納得して出てくるアイディア」を考えると、

何だか儲かりそうな気がします。